知らない、聞いたこともないことに注目する!

 そうですね、私達はスマートフォンが常に手元にありますし、手っ取り早く情報収集するには便利なので、ついついネットに頼ってしまいがちですからね。面倒くさがらずに「行動を起こす」、これを肝に銘じたいと思います。他に何か気をつけておかなければならないことはありますか?

上江● まず、情報の信憑性について。根拠が曖昧だったり、情報源が不確かだったりする場合は、その情報を疑ってかかった方が賢明です。よくあるのが、「ちょっと前、先輩が言ってたんだけど・・・」といったような、人から聞いた話を友人が語っている場合。こういった情報は、どこかで話が変わってしまっていたり、 一 部だけが誇張されていたりするケースが多いので注意が必要です。また、情報源そのものに信憑性がない(怪しい)場合も要注意です。業界情報、企業情報、職種内容、事業内容、職場環境など、皆さんにとっては未知の世界なので、「そういうものなのかな」とつい信じてしまいがちなので注意しましょう。

 それから、就活生が頼りにする就活ナビサイトの掲載内容や合同企業説明会で話される内容にも、実は注意すべきポイントがあります。ただ、これらでさすがに嘘が書かれていたり、騙すような話をしたりといったことは当然ないのですが、 一 部の話が誇張されて説明されていたり、仕事の良い面だけをピックアップしていたり、過去の実績を誇らしげに話すだけで、将来展望が見えなかったり・・・といったようなケースはたまに見受けられます。そもそも、就活ナビサイトや合同企業説明会は、学生に自社のことを知ってもらいたい企業が、お金を出して情報を伝達するためのものであり、いわゆる広告宣伝が目的です。自社にとって不利益な情報を、お金を出してまで積極的にPRする企業はいませんから、当然と言えば当然です。しかしながら、光が当たれば必ず影ができるように、良い面があれば必ず悪い面も存在します。そういった点にも注意を払う必要がありますので、得られた情報をそのまま鵜呑みにしないように気をつけてください。逆に言えば、自社にとって不利益な情報を開示している企業から発せられる情報は信用できるとも言えますね。

 私は何でもフランクに話ができる大学のOB・OG(ゼミや研究室、サークルの先輩社会人)が 一 番信用できる情報源だと思っています。ですから、積極的にOB・OG訪問してほしいと思っているのですが、やり方がわからなかったり、探すのが面倒だったりという理由でOB・OGにアプローチしないのは、非常に残念でなりません。

 次に、これも学生によく見られることですが、“よくわからないからスルーする"という行為について。合同企業説明会での様子を例にお話します。大きなイベント会場で行われる合同企業説明会では、たくさんの学生が集まる人気の企業と、学生がなかなか来ない不人気の企業とがあります。学生がたくさん集まっている企業のブースは、黒山の人だかりで一番後ろの方で立ち見になっている学生はスライドがほとんど見えておらず、また、説明をする社員の声もよく聴きとれていません。 一 方、学生があまりいない企業のブースでは、社員と学生が 一 対 一 で向き合い、じっくりと会話をしています。これはどういうことなのでしょうか。

 人が集まっている企業=いい企業、人が集まっていない企業=ダメな企業ではもちろんありません。学生がたくさん集まる企業=「知っている企業」、「社名を聞いたことがある企業」であり、メディアでよく見かけたり、普段その会社の商品やサービスを利用していたりといった、学生にとっては身近な企業であることが多いのです。ところが、「知らない」、「聞いたこともない」、「何やってるかよくわからない」といった企業のブースには、学生はあまり行きません。“よくわからないからスルー"されてしまっているのです。

 学生の皆さんはこれまで一般消費者として社会と深く関わっていますので、企業と消費者が直接繋がっている業界(食品、運輸、マスコミ、金融・・・)については理解がしやすく、受け入れやすいため学生に人気があります。しかしながら、企業と企業との間で取引をしている業界(電子部品、工作機械、システム開発、リース・・・)は、消費者からは全く見えていない分野であり、 一 般人には理解しづらい業界でもあるので、そういった業界、企業には学生はあまり目を向けません。

 ただ、これは大きな機会損失であり、進路選択の幅を自ら狭めてしまいます。企業間で取引を行っている企業のことをBtoB企業と言ったりしますが、BtoB企業には独自の高い技術力や業界内での高いシェアを有する企業も多く、また、大手企業(または世界中の企業)と長年取引をするような安定した企業や社会貢献度の高い企業、高収益企業や最先端技術のプロジェクトを行っている企業など、業界内で高く評価されている優良企業が多数存在しています。こういった業界、企業はまさしく「知ろうとする努力」をしなければ決して見つけることはできません。「知らないから」、「よくわからないから」といった理由でスルーしてしまうのは本当にもったいないことだと思っています。

 「将来やりたいことがない」、「やりたいことが見つけられない」のではないのです。世の中のことを知らなさ過ぎるだけなのです。

資格取得で自分の努力を「見える化」する!

 就職活動に向けて資格取得しておくことについては、どう思いますか?

上江●何か資格を持っていると就職活動で有利になるのでは?と考える学生がいます。ただ、資格があるからといって、無条件で就職が有利になることはまずありません。また、資格は「ないよりはあった方が・・・」とは思いますが、新卒採用において資格がなければダメということはほとんどありません。自分に自信がなかったり、アピールできることがなく不安ばかりが先行していたりすると、「とりあえず資格でも取っておこうかな?」と思いがちですが、この「とりあえず資格でも」という考え方が一番よくないですね。その分野に興味があって勉強し、その証として資格を取得する場合や、今後仕事をする上でこの知識が必要になるだろうという考えから、時間のあるいまのうちに勉強しておくなど、明確な目的意識や考えがあっての資格取得であればかなり評価はされると思いますが、就活のためだけに・・・というのは、その時間と努力がムダになる可能性が高いのでオススメしません。

 3年生であれば、学生時代にしかできない他のことに注力した方が賢明でしょう。1、2年生は、世の中にどんな資格があるのか、その資格はどういうところで活かせるのかを知っておくだけでも有意義なことだと思いますので、「知る努力」をしてください。また、興味が持てそうな資格があったら、ちょっと詳しく情報収集してみましょう。見聞が広がることで、進路選択の幅が広がりますよ。

「人は見た目が9割」って、ホント?

 最後に、いまの大学生に何か言いたいことはありますか?

スーツの女性

上江● そうですね、伝えたいことは他にもまだまだたくさんあるのですが、スペースも限られていますので、最後に 一 つだけ大切なことをお伝えしたいと思います。それは・・・。

 普段あまり意識していないかも知れませんが、皆さんが思っている以上に、皆さんは周りの人達から“見られていますよ!"ということです。これからは常に「見られている」という意識をもって行動してください。もっと端的に言えば、外見(見た目、表情、態度、姿勢)を良くすることに意識を向けてください。

 大学生は、生活のほとんどの時間を私服で過ごしていることが多いと思います。ボサボサの髪型のまま、ノーメークで、毎回同じような服を着て大学通いしているという人も少なくないのではないでしょうか。大学の授業やゼミ活動、研究室やサークルといった内輪での交流であれば、見た目はさほど大きな問題ではありませんし、気にする必要もないのかもしれません。しかし、アルバイト先やインターンシップ中、就職活動時など、これからは社会人との交流機会がますます増えていきます。TPOに合わせた服装や見だしなみといった外見の良さにも意識を向けることが大事です。これはマナーであり、皆さん自身が社会人として信用を得るための必須要件でもあります。

 私が採用選考の面接官をしている時にもよく感じることですが、外見に気を使わない学生は意外と多いのです。特に、社会との接点が少ない学生は他人からどう見られているのかということを意識していないために、外見を疎かにしている傾向が強いように思います。シャツがシワシワだったり、スーツの着こなしがだらしなかったり・・・。当然のことながら、就職活動では良い結果につながらなくなる可能性大です。

 採用担当者の多くは、実は「見た目」である程度の評価をしているのです。中身の良し悪しも「見た目」に現れると思っていますし、実際そういう相関関係にありますから、第 一 印象は重要だと言われているのです。インターンシップや採用選考に臨む時には、見た目で損をしないないように、身だしなみには気を使い、若者らしく、前向きで、イキイキとした表情が出せるように、日頃の学生生活の中でも、外見磨きを怠らないようにしてください。これから就職活動に臨む3年生の皆さんにとっては、この「見た目」、ホントに重要ですからね。着慣れないスーツを着て表情や姿勢がぎこちなくならないように、早めに自分に合ったスーツを準備して、スーツに着慣れておきましょう。家でスーツを着ても意味ありませんので、スーツを着て出かける機会を作りましょう。社会人は、「この学生、スーツ着慣れてないな」というのは着こなし方を見れば 一 発でわかるものなのです。
(スーツの着こなし方はこちら)

 自分の未来は社会という鏡に映して初めて見えてくるもの。だから、「社会との接点」がたくさん持てるように果敢にチャレンジを!

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