多くの大学で就職対策講座を担当し、学生一人ひとりの個性にあった就職指導で、学生から厚い信頼を得ている。企業で採用担当をしていた経験を基に、内定取得までの最短コースをナビゲート。毎年1,000件を超える模擬面接やエントリーシートの添削指導をし、様々な大手企業に多くの学生を内定させた実績を持つ。CDA(キャリア・デベロップメント・アドバイザー)

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少ない自分の知識だけで、企業を選ばないようする

毎年秋になると、エントリーサイトがオープンし、大学生たちは企業へのエントリーを始めます。けれども、この時点では「知っている」企業はほんの一部で、TVコマーシャルで有名な企業だけをエントリーすることになります。いわゆるBtoC企業です。一般の消費者を顧客としているため、露出が多く、その消費者の一人である大学生も「良いイメージ」を持っています。ですから、エントリーをした人数を示す「ブックマーク」が数万人になる企業も出てきます。採用予定数10名に、応募者2万人という状況も生れるのです。

大学生がイメージする「一流企業・大手企業」というのは、すべてこのBtoC企業のことです。それは現実の企業状況とは大きく異なります。世界に君臨する企業の多くは、BtoB企業、つまり、企業を顧客とするビジネスを行っている企業なのです。例えば、最近注目されている「太陽電池」関連の企業で考えてみましょう。大学生が知ってるのは、シャープ、京セラ、三洋電機などでしょう。これらの企業は、個人の顧客向けにも携帯電話などを提供し、TVコマーシャルも行っています。一方で、カネカを知ってる大学生はどのくらいいるでしょうか。太陽電池の薄膜化が主流となってる今、その薄膜変換効率で常に世界のトップを争っている企業です。また、医療機器の分野で、テルモやオリンパス(メディカルシステムズ)を知っている人でも、生態情報モニターで国内首位の日本光電は知らないのです。医療用キットで首位のホギメディカルは知らないのです。

このように、実はトップ企業のほとんどはBtoB企業であるのにもかかわらず、大学生はそれを知らないのです。これでは一極集中の罠にはまって、少ないパイを奪い合う消耗戦になっても仕方がありません。就職活動の第一歩は、「自分の先入観を捨てる」ことです。何も知らない自分に気づき、仕事に満足のできる優良企業を探すことから始めましょう。

それでは、どうやって企業を見つけていけばいいのでしょうか。何も知らない状態から始めるわけですから、何か指針が必要です。
先ずは、全体を見渡すことができる「業界地図」を入手しましょう。最近ではいろいろな種類が出ていますので、自分の見やすい本を選べばいいでしょう。これを見ると、業界の種類、各業界にあるトップ企業、その業界の将来性までを鳥瞰することができます。次に必要なのは『就職 四季報』でしょう。各企業の詳細なデータ、採用関係のデータが載っています。これには就職難の女子学生用として『就職 四季報 女子版』もあり、基礎資料としてはかなり有効です。通常の『四季報』と違って、就活に関係のあるデータを中心に構成していますから、就活生のバイブルとして当然手元においておくべきものでしょう。
先ずはこれだけでも随分就活が変わってくるはずです。BtoC企業に100社もエントリーしたのに全滅した、という悲惨な状況から脱出する第一歩です。

企業研究のすすめ方

知ってる企業の幅が広がったら、事業の内容や仕事の内容を知るための「企業研究」を始めましょう。就活で勝ち残った人たちは、企業研究をしっかりと行っています。一方で、うまく内定を奪取できなかったのは、「企業セミナー」と「企業のホームページ」だけで情報を集めていた人たちです。
なぜセミナーやHPだけでは、企業研究が十分ではないのでしょうか。それは、これらが「宣伝」の場であるからです。そして、志望する誰もが知ってる情報しかないからです。よく、志望理由で「御社のセミナーに参加し、雰囲気が良かったので志望した」という人がいます。この言葉のどこに「志望理由」があるのでしょうか。セミナーの「雰囲気」が良くない企業など滅多にありません。宣伝の場ですから、いかに多くの大学生に志望してもらうか、ということを第一義に考えて開催しているわけです。当然、話の上手い担当者が説明し、感じのいい社員を配し、万全の体制で行います。それを企業のイメージと思ってしまうのが多くの大学生です。それをそのまま志望理由にしても、企業側が心を動かすはずがありません。
こういう基本的なことが理解できずに、就活を進めてしまうのです。面接においても、誰もが同じ情報で臨むわけですから、そこに個性はなく、採用する気持ちが萎えるのは当然でしょう。

企業研究は、企業を知っていく、自分とのマッチングを探す過程であると同時に、最大のポイントである「志望動機」を完成させる重要な作業なのです。それでは、企業研究にはどんな方法があるのでしょうか。結論から先に言うと、決まった方法はありません。書店に行って就活コーナーをのぞいてみましょう。筆記試験対策、面接対策、エントリーシート対策、自己分析などの本は数限りなく出版されています。けれども、企業研究だけをテーマにした就活本はほとんどありません。それは、書けないからです。決まった方法がないことを、一冊の本にすることはできません。
この点に気づけば、就活においてライバルに差をつける最大のポイントが企業研究であることがわかるでしょう。誰もが模索し、試行錯誤しているわけですから、ここで差をつけることができるのです。ここでも企業研究の方法をレクチャーすることは難しいのですが、その一端を紹介することはできます。
先ず、情報の源を確認しましょう。それは、大雑把に言うと「WEB・紙・人」です。大学生は先ず「WEB」から入ることが多いようです。就活がインターネットなしでは不可能な時代にあっては当然でしょう。けれども、企業のホームページを見るだけで終わります。先述したように、この情報は誰もが持ってるもので、しかも「宣伝」としての内容しかありません。また、「掲示板」等の書き込み情報を信じこんで就活を進める人もいます。出所の分からない情報がいかに危険なものであるか、少し考えればわかるはずです。有名な就活掲示板ですら、多くの偽情報が混入しています。ですから、WEB上にある、他の優良情報を探すことが重要なのです。例えば、「日経テレコン21」というサイトを見てみましょう。これは有料サイトなので、大学等の図書館、キャリアセンターで見るといいでしょう。ここは過去の新聞・雑誌の記事が大量にあります。検索すれば、企業に関する記事を簡単に得ることができるのです。また、企業の社員が作っている「ブログ」も面白い内容が多く、セミナーでは味わえなかった企業の風土を感じることができます。メールマガジンを発行している企業もあります。
もう一つの「紙」は、書籍・新聞・雑誌・CSRなどの記事を指します。特に書籍では、就活用の企業本ではなく、その企業のトップが書いたもの、ジャーナリストが書いたものなど、興味を持てる内容が多く存在します。そして、最後が「人」です。もちろん、これはOB訪問のような先輩社員との会話が中心となります。現場の人から得た情報が、どのくらい役立つか、就活を始めるとわかるでしょう。「人」は先輩だけではありません。家族、親戚、友人、近隣の人、アルバイト先の人など、仕事をしている人すべてがターゲットとなります。

これらの情報を「志望動機」が書けるまで集めていくことが最も重要なことなのです。

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