ライター、大学ジャーナリスト 石渡 嶺司さん

INTERVIEW 巻頭インタビューより充実した大学生活を送るために。

「就活のしきたり」「アホ大学のバカ学生 グローバル人材と就活迷子のあいだ」などの著書で知られ、就職活動や大学の“今"にくわしい大学ジャーナリストの石渡嶺司さんに、1、2年生に向けた大学生活へのアドバイスをうかがいました。

ライター、大学ジャーナリスト 石渡 嶺司さん

4つのアドバイス。

―大学生活をより充実したものにするためのアドバイスをお願いします。

まず、しっかりと勉強しましょう。
「何を当たり前のことを言っているんだ」と思うかもしれませんが、講義に出て単位をとればOKということではないんですよ。何か大きなテーマに対して、系統立てて考えられる力、論理的な思考を身につけることが大切なんです。大局的に物事を見て、判断できる力を持てるように、しっかりと学んでください。それが、社会人になってから、ものを言いますからね。前回の秋冬号でもお話しましたが、大学での勉強をしっかりやっているかどうかは、今、どの企業も重要視しているポイントですし。テーマは何でもいいんです。自分が興味を持ったことをどんどん学んでください。
2つめに、ちゃんと教科書を買うこと。
これもレベルが低い話だと笑ってしまうかもしれないけれど、実は、買わない人が増えているようなんですね。でも、教員が指定している教科書は、必要だからこそ指定しているのですから。そして当然ですが、辞書も買いましょう。
3つめ、人間関係をどんどん広げていきましょう。
せっかく大学生になったのだから、卒業すればいいというのではなく、新しい人間関係をつくっていきましょう。人づきあいがあまりうまくないと思っている人でも、自分からちょっと勇気を出して動いてみましょう。
たとえば、あまり興味を持てなかったとしても、何かサークル活動に参加してみるとか、出欠が単位取得に関係ないとしても、ちょっと興味を持った講義を受けてみるとか、強制参加じゃないにしても、新入生歓迎行事などイベントに参加してみるとか。いろんなことに、めんどくさいと思わず、とりあえず参加してみましょう。
「高校時代の友達がいるし、友達が増えなくてもいいや」などと在学中はそれで良くても、卒業した後、寂しいもんですよ。最初は、性格的に合わないなと思っていた人でも、卒業後ぐっと仲良くなるということだってありますし。
私の場合、途中から参加したサークル活動で、なんとなくウマが合わない後輩がいたんですが、実は、今、本を共著で出しているんですよ、その人と。まあ、彼はいまだに私を先輩とは思っていないんですけどね(笑)。
4つめ、新聞や雑誌、本を読みましょう。
時間があるうちに、いろいろな本に触れたり、新聞を読んでください。自分にはあまり関係がないと思う本でも、多少努力をして、読んでほしいですね。直接関係ない本でも、後からつながってくることも多いんですよ。
たとえば、公務員志望の人などは、どうしても対策本ばかりになりがちですが、原作者が現役の公務員というコミックエッセイ「リアル公務員」(町田智弥・著、かたぎりもとこ・イラスト/英治出版)、有川浩さんの小説「県庁おもてなし課」(角川書店)など、公務員の日常を描いているものを読んでみるのもおもしろいと思いますよ。意外な発見がたくさんあります。また、現役の佐賀県武雄市長、樋渡啓祐さんが、当選当時、36歳という最年少市長として奮闘する姿を自ら記したノンフィクション「首長パンチ」(講談社)も、賛否両論ありますが、私はおもしろい内容だと思います。
時間のある1、2年生のうちから、どんどん読んでほしいですね。

大学生活や勉強も、後から効いてくる。

―受験勉強を終えて、やっと大学生になれたのに、なかには、自分の思い描いていた生活と違う、何か矛盾を感じてしまう、自分のポジションを見失ってしまった、また、勉強も含めて大学生活が、就活や社会人になってからどのように役に立つのか、その意味が見い出せないという学生もいるかと思うのですが…。

そういう学生さんたちに対して、私は「あなたは自転車に乗れますか。いつから乗れるようになったの。乗れるためにどうやったの」と、よく質問するんです。すると、たいていの人は「転んだりしながら、何回も練習した」と答えます。つまり、自転車に乗れることが役に立つか立たないか、とか、自分は乗れるようになるのかならないのか、などと考えて練習する人はいなくて、みんな、乗れるようにひたすら練習するわけですよね。
大学生活や勉強も、それとまったく同じです。最初からうまくいく人はそんなに多くありません。自転車に乗れない幼い子供のように、失敗し続ける人が圧倒的多数です。その失敗が将来もずっと続くと思いこんでしまうのは、自転車に乗れないと思いこんで練習をやめてしまう子供と同じなんです。もったいないですよね。それは、単に、その時うまくいかなかっただけなんですから。
大学生活や勉強も、その意味は後からわかってくるもので、即効性のあるものではありません。気がついたら、うまくいくようになっている。最初からうまくいくわけがない、それが大学生活であり、勉強なのです。

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