[特集]“知る”を“チカラ”に定番就活本 完全ガイド

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就職四季報シリーズ

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就職四季報シリーズ

客観的・中立的な就職情報誌として類書のない就活のバイブルが『就職四季報』です。就活生向けにアレンジされた情報とはいえ、漫然と手にとるだけでは何も身に付きません。就活で重要なのは、企業側が発信する情報の「ウラをとる」ことと、同業他社と「比較する」こと。就活の各段階で『就職四季報』を使って「調べる・確認する」ことで、ライバルに大きな差をつけることができます。

就職四季報(総合版)の誌面

就職四季報(中堅・中小企業版)の誌面

客観的な就職情報で会社側の説明のウラをとる

「採用パンフレットやホームページ(HP)、就職ナビの情報と『就職四季報』の情報は、どこが違うんですか?」という質問を受けることがあります。たとえば有給休暇。採用HPにも「有給休暇:年20日、夏期休暇:連続7日」などと書かれています。一方、同じ会社で『就職四季報』の「有休消化年平均」を見てみると「4・1日」とあったとしましょう。これは、20日有給休暇があるが、実際社員が取得できたのは、1人平均年4日しかなかったということを示しています。休めるという制度があることと、実際休みが取れるということは違います。『就職四季報』の最大の売りは、このような情報の質の違いです。この質の違いによって、働く実態がわかり、会社側の公式発表の「ウラ」が取れるわけです。

早速誌面を見てみましょう。最初に目を通したいのが「特色」と「記者評価」です。「特色」はその会社の業界での地位や得意分野などが簡潔に記されています。「記者評価」は『会社四季報』(12〜13ページ)の業界担当記者たちが日々の取材を基に、就活生向けにその会社の概要を、客観的な評価を加えたうえで解説したものです。

読んでみると新しい発見があるはずです。たとえば、調味料のテレビCMでおなじみの味の素。「記者評価」には、医薬品、電子材料など多角的に展開していることが書かれています。さらに「技術や研究が事業の中核、化学メーカーのような堅い社風」とは、CMのイメージとは全く異なるのではないでしょうか。会社選びで大切なことは、その会社への先入観にとらわれないこと、そして会社側から発信された企業イメージだけに引きずられないことです。そのためにも最初に「記者評価」を読むことをお勧めします。

次に、会社のイメージをより具現化するために「会社データ」に目を通しましょう。売上高や従業員数で会社の規模がわかります。同業他社と比較して、自分のなかで規模感をつくりましょう。この欄でしっかり押さえたいのが「今後力を入れる事業」です。会社アンケートによるものですが、その会社の採用における方向性がうかがい知れます。味の素では「食品・アミノ酸・医薬ビジネス」とあり、医学・薬学部系学生は要チェックです。資生堂は「海外事業」。外国語が堪能で海外にどんどん売り込んでいく商社マンのような人材を求めているのかも知れません。

働きやすさを直接示す3年後離職率

会社の概要・規模が頭に入ったら採用情報に移ります。『就職四季報』では修士・大卒それぞれに、男女別、文系理系別の採用人数を3年分掲載しています。総合職・一般職別にも男女別に採用実績が載っているので、まずは自分が志望する会社に自分の属性(文系女子、理系修士男子など)がどの程度採用されているかを押さえることです。さらに、「採用実績校」で採用されている大学がわかります。企業側は膨大な志望者を選別するため、「ターゲット校選考」を強化していると言われています。自分の大学に実績がないからといって簡単にあきらめてはいけませんが、せっかくの就活対策が徒労に終わらないよう、現実路線も押さえておく必要があるでしょう。

次いで、働きやすさなど職場環境や社風について。最も関心の高い給与については、「初任給」「ボーナス」「25、30、35歳賃金(35歳最低〜最高賃金)」「平均年収」を掲載し、多角的に賃金水準を比較することができます。ただ、そのまま比べればよいわけではありません。最も注意が必要なのが「平均年収」です。これは会社全体の平均なので、その会社の平均年齢も一緒に見てください。平均年齢が高くなれば平均年収も上がるからです。また、平均年収には基本給のほか、ボーナス、家族手当など各種手当や残業代も含まれます。ですから残業の多い企業はカサ上げされている可能性があります。残業の状況については「月平均残業時間と支給額」で確認できます。

働きやすさを示す指標で最も注目度が高いのが「3年後離職率」です。これは3年前に入社した新卒者のうち、3年後の4月までに辞めた人数の割合で、大卒では入社3年で3割辞めるというのが定説となっています。前年、直近年と、2年分を掲載していますから、2年とも3年後離職率が3割を上回っている企業については、その要因をチェックすべきです。一般に、外食や小売業、ソフトウエア開発などでは離職率が高くなる傾向があります。いずれも「新人でも数字を上げればすぐ店長に抜擢するけれども、ついて来られない人は辞めてもらって結構」という優勝劣敗の激しい世界です。「3年後離職率」の裏返しが「3年後新卒定着率」です。これが100%に近い会社は「居心地の良い会社」ということになるでしょう。『就職四季報』では男女別に定着率を掲載しています。

「平均勤続年数」や「平均年齢」も職場の雰囲気が伝わるデータです。離職関係のデータが「NA」(No Answer=非開示)でも、平均勤続年数でだいたいの目星はつきます。平均年齢20歳台の会社と40歳台後半の会社では、親子ほどの違いがあります。当然社内の風景も大きく変わってくるでしょう。

ちなみに、「NA」の解釈について、数字がよければ企業は開示したほうが得なので、あまり芳しくない数字であろうという推測は容易にできます。『就職四季報』の調査は回答が大変なので、さほど数字が悪いわけではないが出せないという会社もありますが、それでも、就活生に対する情報開示姿勢の現れということはいえます。ついては、意識して、客観的・中立的な情報を取り入れていくことが、自分の知っている企業数を増やす最大のポイントだといえます。

初めての経験だからこそ事前準備が明暗を分ける

会社が絞られてきたら、次は就活の実践編です。真っ先にチェックすべきは「エントリー情報と採用プロセス」です。エントリーした企業からは、選考が始まれば都度案内が届きますが、本格的に就活を始める前に、エントリーから内定までのイメージをつかんでおくことです。何社ぐらい受けられるか、何月ごろどんな状況になりそうか、事前に計画を立てられた人とそうでない人は、おのずと行動が違ってきます。

選考の第一関門はエントリーシート(ES)です。「試験情報」の中の「通過率」はESの受付数と通過数を基に算出したもので、これを公開している企業は多くありませんが、マスコミや食品など人気業種では実質的に1割に満たないケースもあるようです。何社出してもESで落とされるのでは就活に対する意欲も減退してしまいます。エントリーする企業には通過率の比較的高い会社・業種を含めておくとよいと思います。また、ESはあくまで応募シートと位置づけ、選考の対象にしない(「選考なし」と表示)企業も意外に多くあります。ただ、その場合でも面接でESの内容を問われることになるので、おろそかにしてよいわけではありません。ESで落とすことがなくても、ほとんどの会社が「重視する選考ポイント」をもっています。必ず確認しましょう。

ESが通過すれば、筆記試験と面接が待っています。これについても事前準備が必須です。筆記試験の種類や、「正解率」(通過者の最低点を100点満点換算で示したもの)、「通過率」(通過者の人数割合)を参考にして対策してください。面接のポイントは突き詰めれば総合力ということになりますが、「質問の本質を理解し、自分の言葉で考え方を述べることができるか」(建設会社)など、詳細に会社の視点が示されている場合もあり、必見です。

「女子版」「中堅・中小企業版」も特有の情報項目満載

『就職四季報』には、ここまで主に説明に使ってきた「総合版」のほか、「女子版」、「中堅・中小企業版」があります。

「女子版」の特徴は、「総合版」には載っていない一般職の採用実績を掲載していることです。他にも、総合職と一般職の併願ができるかという「職種併願」の可否、入社後に一般職から総合職、またその逆などの転換ができるかなどの「職種転換制度」、「産休・育児休職制度」など、女子特有の採用・就業要因に特化して項目を採録しています。また、女子版オリジナル項目として女性の既婚者・有子者、女性の役職者を収録。共通項目の勤続年数や3年後離職率も女性分を大きく表示、実績校や配属勤務地・配属部署は女性のみで別途調査していることなども「総合版」との違いとして挙げられます。

「中堅・中小企業版」は「中小企業の情報が欲しい」という就活生の要望に対応し、今年新しく創刊されたものです。売上高で1000億円程度を目安に、これを下回る規模の4000社を掲載しています。「総合版」と同じ項目は基本的に同じ見方をすればよいですが、中小規模の企業で特に注意したいのは以下の2点です。

①採用数と従業員数の割合をチェックする――従業員数に照らしてあまりにも採用人数が多すぎる会社は要注意です。いわゆるブラック企業など労働条件が劣悪で、あらかじめ大量離職することを見越して大量採用していることがあるからです。反対に急成長している会社も人手不足のため大量採用しますが、この場合は過去数年にわたって採用数と従業員数の推移を見てみましょう。採用人数に応じて従業員数も拡大基調にあれば問題なしですが、大量採用しているのに従業員数はあまり変わらないようなら大量離職が懸念されます。

②3年後離職率は母数の3年前入社者数を確かめる――入社人数が少ないため、数値が大きくぶれがちです。たとえば100%や0%だったとしても、3年前入社者が1人の場合、単年度だけで判断すべきではありません。

ほかに「中堅・中小企業版」特有の項目として「仕入先」「販売先」があります。これらは「親会社」とともに会社を取り巻く利害関係者で、それら取引先の業況が自社にも大きく影響します。しっかりとした企業と取り引きしていることは、優良な中堅・中小企業を見分ける大きな判断材料となります。「販売先」ではBtoB(企業間取引)企業かBtoC(消費者向け取引)企業かがわかります。

まだまだ紹介しきれなかった指標もありますが、『就職四季報』の奥の深さを覗き見ることができたことと思います。ただ大事なことは、個別の指標をバラバラに判断するのではなく、総合的に判定することです。1つの会社から出た指標には必ず連関があります。最初の1社を分析するのは大変ですが、次からはぐっとラクになります。時間のある今のうちに、ぜひ客観的な企業分析の方法を身に着けておいてください。

就職四季報(総合版)の誌面

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