特集01  伝えるための「語学」をマナブ。/鳥飼玖美子先生インタビュー
“国際共通語としての英語”とは
リスニング力を高めるための4つのポイント―そのボールを返してもらう時に、相手の話していることが聞き取れなかったら困ってしまうんですが、私たち日本人が海外に行って一番困るのは、この聞き取りの力だと思うんです。その力をつけるには、どうすればいいのでしょうか。
リスニングは、4技能の中でおそらく一番難しいと思います。というのは、これは完全に相手次第なんですよね。“国際共通語としての英語”でもお話ししたように、とにかく英語にはいろいろなバリエーションがあるわけです。じゃあ、そのバリエーションが非常にある英語を聞き取るにはどうしたらいいのか。まず、簡単な答えはないと、思わなきゃいけない。リスニングは難しいと、覚悟するしかないんです。
その上で、簡単ではないけれども、できることの1つ目は、まず慣れること。そして、2つ目は、聞き取れなかった時にどう対応するか、そのやり方を身に付けておく。つまり、聞き直し方ですね。聞き直すのを恥ずかしいと思わず、全体がわからなかったのか、それとも1つの単語だけ聞き逃したのか、または、ゆっくり話してほしいのかなど、何度でも聞けばいいんです。どうしてもわからなければ、書いてもらう。
3つ目は、いろいろな表現や語彙をたくさん知ること。読んでわからない単語は、聞いても絶対にわかりません。だから、読むことがとても大事なんですね。たくさん読んで、語彙を増やしておくと、聞いたときに、「あっ、これね」ってわかるんです。
4つ目は、文脈から想像する、推察すること。1つ単語が聞こえたら、そこから推理をするんですよ。全部わかろうと思わないで、前後の文脈から推察して、「あなたが言っているのはこういうことですか」と問いかけて確認してもいいですよね。想像力や常識を働かせることも、リスニング力を補うのには必要なのです。
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大学生の今こそ、語彙を増やしておこう
―語彙を増やすためには、かなりがんばらないといけないでしょうね。
語彙の専門家によると、まともに大人の会話をしようと思ったら、8000語が必要で、では、8000語をどう身に付けるのか、大学だけでは、とっても無理で、2000語がいいところ。何となくでは絶対に身に付かない。意識的に本人がどれだけ学ぶかにかかっているという話をしていました。
本気でやろうと思ったら、何でも良いから好きなものを英語で読んで、キーワードと思われるものを辞書で引き確かめて、それを使ってみる。1つの単語が出たら、それだけを辞書で引くんじゃなくて、ついでに形容詞も名詞も動詞も全部調べて、できたら句動詞や熟語や定型表現など、こういう使い方もあるということまでちょっと見ておく。辞書を引くんじゃなくて、辞書を読むこと。それで、口に出して言ってみる。これを続けていけば、大学生のように吸収力、暗記力のまだまだある時期は、8000語を身につけるのは決して難しくない。若いうちにそうやって、ちゃんと財産をつくっておいてほしいですね。そうすると、あとが楽です。
語彙がそこまであって、話す意欲があって、ちょっと練習すれば、仕事で使えるようになりますよ。それでTOEICを受けたら、800点ぐらいは取れるはず。うまくいけば900点ぐらいいくと思います。
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TOEICや留学を上手に活用しよう
―最近、そのTOEICを受ける学生も増えてきました。就活の時に質問したりする企業も多くなってきているようです。
TOEICは恐れることないと思いますよ。今、お話ししたように、自分が一生懸命勉強すれば、730点をクリアするのはそう難しくはないです。ただ、あれはある一部を測っているだけで、すべてではないですからね。基本的に、リスニングとリーディングですし。
ビジネスで使える英語としてのTOEIC最低限は、730点です。でも、それで万歳ではなくて、仕事に使える英語はそこから始まるのです。もっとやらなきゃダメ。商談で微に入り細に入り、いろいろなやり取りをしようと思ったら、もっとスコアを上げないといけない。逆に言うと、そういう仕事を経験しているうちにスコアは上がるんですね。だから、そんなに恐れるほどのことでもないんです。
自分が勉強した、その成果を見るために受けたらいいと思うんですよ。そして、1回目はダメでも、2回目は少し上がる、3回目はもっと上がっていくっていうことでね。

―英語力を磨くということでは、今、大学2回生で語学留学をする人も結構多くなってきました。留学について何かアドバイスがあれば。
留学を非常に上手に活用して力になっている人と、何となく過ぎちゃう人といますね。特に気を付けなければいけないのは、同じ大学から何十人と一緒に行く場合です。どうしても仲間同士で群れてしまうんですね。
もし、ホームステイできるのなら、ステイ先のファミリーととことん付き合う。食事の時だけ部屋から出てきて、食事が終わったらすぐに部屋に戻ってネットをやっているとかじゃなくて、学校から帰って来たら少々疲れていても、食事を作るのを手伝う。この作り方を英語で教わる。それで食事中にも一緒に話を楽しむ。自ら話題を提供して話をする、という努力はしてほしいですね。
また、1年間留学できる機会がある人には、ぜひ有効に使ってほしいものです。決して、お正月に帰ってこないように(笑)。貴重な1年間なのに帰ってくるんですよ、今の学生は。家族が集まる時期であるクリスマスやお正月をどう祝うのか、現地の人たちの過ごし方も見ながら、1年間どっぷり、現地の生活に浸って吸収していただきたい。それは英語圏であろうとなかろうと。英語圏でなければ、もっと幅も広がるのではないでしょうか。
留学先でどのように過ごすかで、その人の人生が変わると思うんです。そのくらいの気持ちで、1年間フルに活用してほしいと思います。

―短期でも長期でも、積極的に現地の人たちと触れ合うことが一番なんですね。
そうですね。英語を学びたいと思って行っているのに、現地の人たちとあまり話さない、そして、言葉が足りない。それは、本当にもったいないことですよ。

―先程おっしゃったように、コミュニケーション力の問題ですね。
ええ、話そうとする意欲が足りないんですね。たとえば、ホストファミリーが何か質問すると、YES、NOだけで終わってしまって、相手はもうそれ以上話しかけちゃいけないような気持ちになってしまう。会話ってそうではなくて、聞かれなくても自分から入っていかなきゃダメなんですよ。このお料理おいしいね、どうやって作ったんですか、でもいいし、食前のお祈りは毎日するんですか、とかね。自分から話題を提供しないとね。
それと、特にNOと言う場合には、なぜNOなのか、説明をちゃんとした方がいいですよ。NOと言う時こそ、気配りをしないと。I'm sorry,but…みたいなね。“なぜならば”が大事なんですよ。ちょっと疲れたので、とか、あまり気分が良くないので失礼したい、明日の宿題があるので、とか、理由を正直に言えばいいのです。こういう、ちょっとしたところの言葉が足りないんですね。

―日本人特有の照れもあったり、I'm sorryと言ってはいけないと思い込んでいたりするのかもしれませんね。
照れているとわかってもらえればいいんですけど、わかってもらいにくいですよね。NOと言うのに緊張して、ついこわい顔になってしまうこともあるかもしれません。でも、そのあたりは、ちょっとした気配りをすれば大丈夫。断るときはやっぱり、I'm sorry,but…と言って、理由をきちんと言う。ごめんなさいねって付け加えた方がいいんですよ。
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自分で主体的に学んでいこう
―では、最後に、学生たちが英語へのモチベーションを、4年間ずっと持って勉強していくには、どうすればいいでしょうか。
大学での英語の授業をベースにしながら、どう膨らませて、コミュニケーションに使える英語を獲得していくか…。結局は、自分でやるしかないんです。たとえば、会話の授業があったら、自分から積極的に話すようにする、リーディングの授業があったら、一歩深めて読んでみる、また書いてみる。授業だけじゃなく、TOEICにしても、留学にしても、本人の意欲、自分がどう学ぶかによって得られるものが大きく変わってくるのです。
英語だけでなく、学びとは、自分がいかに主体的に取り組むかということであって、大学はそのきっかけを与えるだけなんですよ。高校と大学の違いはそこなんです。大学とは、主体的に自らが学ぶことを学ぶ場なのです。ですから、英語も自分でやること。大学はそのお手伝いをするだけなんですね。
大学生という若いうちに、ぜひ自律的に努力して、英語をやっていただきたいですね。少しでも話せるようになると、楽しくて、世界が大きく広がりますよ。
リスニング力を高めるための4つのポイント
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