[巻頭インタビュー] まず、行動する! それが就活成功のカギ。石渡嶺司さん インタビュー

「就活のバカヤロー」「アホ大学のバカ学生 グローバル人材と就活迷子のあいだ」など、就職活動や大学の実態をていねいに描いた著書で知られる大学ジャーナリストの 石渡嶺司さんに、就活への心構えなどについて、お話をうかがいました。

「就職する」ことを柔軟に考えてみよう。

―“就社”ではなく“就職”だと、よく言われていますが、就活を始めるにあたって、「就職する」ことの意味をどうとらえればいいでしょうか。
就職は、当然、アルバイトとは違います。「与えられた仕事をきちんとやります」だけでは、“就社”にすらたどりつけないでしょう。たとえば、あるヒット商品、サービスを持つ会社があるとして、その商品やサービスが好きだから、その会社に入りたい…だけではダメなんです。その商品なり、サービスなりの今の人気を維持し、新たな商品、サービスを開発したり、営業したりできるかどうか、企業側はそこを見るんです。そのあたりの意識から変えてほしいですね。
―みんながやっているから就活する、というのではなく、自分が仕事として何をしたいのか、まず、そこを考えてみることが大切なんですね。
そうですね。ただし、そこにこだわり過ぎると、視野が狭くなってしまう。たとえば、本が好きなので本屋に就職したいという場合、本屋では在庫をどう減らしていくのか、また、あってはならないことだけど万引きにどう対処していくのかなど、単に本が好きというだけでは対応できない部分がたくさんあります。どんな仕事でも、表面的にはカッコ良くても、実はドロくさい部分がたくさんあるんです。
仕事って、自分が思っていた内容と違うことの方が多いんですよね。自分が求めていた確実性と違う部分が多い。でも、自分が思ってもいなかった仕事をやってみて、そのおもしろさを発見する喜びもあるんです。
今は、将来への希望がなかなか見えにくい時代なので、確実性を求めてしまう学生が多い。でも、だからこそ、不確実性のあるもの、非合理的なことでもどんどんチャレンジしてほしいですね。

大学での勉強をおろそかにしない。

―企業が求める人材は変わってきているんでしょうか。
今、企業が見るのは、まず、大学で勉強をしっかりやっているかどうかです。そこが、ここ数年で、大きく変わってきているところです。
バブル崩壊以降、学生の間で就活テクニック論がどんどん広がっていき、自己PRや志望動機について同じようなことしか言えない学生が増えてしまった。企業側は多様な人材がほしいから面接をしているのに、それでは意味がない。その上、いいと思って採用した学生が、意外と大学の勉強をしていなかった、基礎的な教養が足りなかった、ということになってしまった。
そこで、何が重要かというと、大学での勉強なんです。では、何を勉強すればいいのか。技術職の場合は、専門重視ですが、文系事務職、営業職の場合は、専門はとくに関係ありません。その企業の業務内容と関係なくてもいいんです。大切なのは、何か一つでも大きなテーマに対して、系統立てて考え、論理的な思考を身につけた、大所高所から物事を見て、判断できる力を持っているかどうか、ということなんですね。
自己PRや志望動機については、ある程度は対策を立てられます。しかし、大学での勉強は、ちゃんとやってきたかどうか、ごまかせません。
―40年、30年前でも、「大学生は勉強しない」とよく言われていましたが…。
そうですね、僕の頃もそう言われていました(笑)。ただ、年を追うごとにその意味合いがどんどん変わってきていると思います。一つには、高校までの教育が全然違うことが挙げられます。科目数が減っていて、絶対的な学習量が違うんです。さらに、読書量も違います。昔は、レポートや卒論を書くために文献や本を実際に読みこまないといけなかったのが、今は、極端な話ですが、ネットからの文献だけでもかなり書けてしまうんです。それに、新聞や総合雑誌、週刊誌も、今の学生は、ほとんど読まない。新聞は就活の時にあわてて読む学生がいるくらい。
つまり、確実性があるから読む、たとえば教科書だから読むなどという人が多いんです。就活本しか読まない人もいるほどです。ある意味、合理的に走ってしまっている。
でも、企業側は、そこをよく見ています。たとえば、営業に出る場合、ここは買ってくれそうだから営業に行く、ここは買ってくれないだろうから行かない、なんてことは絶対しませんよね。ダメもとでいろんなところへ営業に出かけていくわけですから。就活だって同じです。新聞や雑誌を読む場合でも、それぞれの企業に関係なさそうだと思っても、ちょっと目を通しておくこと。合理的な部分と非合理的な部分とのバランスを上手に持てるようにしましょう。
―就活は、即効性だけを追求して自分ではうまくできているつもりでも、企業側は足元をちゃんと見ているんですね。
そうなんです。短期間でなんとかしようというのではなく、それより、自分に自信がなくても、とりあえず行動してみる。自分には何もない…なんて思わないで、誰でも、何か一つはやっていることがあるはずなんだから、それをアピールすればいいんです。
もし、それで、どうもうまくいかないと思ったら、周りの社会人たちにいろんな話を聞いてみましょう。そこから何かヒントが得られるはずです。

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