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Interview with Teacher 高校教師から大学生に贈る言葉
古典に学ぶ先人たちの英知 読書が豊かな人間性を育む
。関西学院高等部で教鞭をとる宅間紘一先生に、 学生のための読書法を教えていただきました。
宅間紘一先生
宅間紘一(たくま・こういち)
1944年生まれ。関西学院大学大学院経済学研究科修士課程修了。
現在、関西学院高等部の司書教諭・読書科教諭、また関西学院大学講師として、「司書教諭養成科目」を担当している。
著書に、『学校図書館を活用する学び方の指導』(全国学校図書館協議会)、『三訂版 はじめての論文作成術』(日中出版)、『文庫で名作再読─『走れメロス』から『カラマーゾフの兄弟』まで』(新泉社)ほかがある。
文庫で名作再読
青年期の悩みや疑問 解く鍵は古典の中に
 読書の大切さについては誰もが口にすることです。まずは、多読、乱読から入るのも悪くはありません。しかし、大学時代は社会に出てゆくまでの、青年期の締めくくりとなる非常に大事な時期です。だから、読むべき書物を選ぶことも必要です。
 端的に言えば、「古典」を読むべきです。ここで言う古典は、古文という意味ではなく、風雪に耐えて生き残っている書物のことです。
 では、なぜ読書が大切なのか、なぜ古典なのか、それは、青年期とはどういう時代か、ということと関わっています。青年期は、自分という存在が徹底的に疑問符と化し、自分と真正面から向き合わねばならない時代です。青年期にはさまざまな悩みが襲いかかってきます。それらは、受験に失敗するとか、友だちとうまくゆかないとか、異性の問題、劣等感など具体的な形をとります。しかし、どんな悩みであっても、突き詰めてゆくと結局は「私とは何か」、「生きるとは何か」、「人間とは何か」という大疑問に逢着します。日常の、個々の問題の底にこうした根本問題が潜んでいることに気付くことのできるのが青年期です。幼少年期には、身近な親しい人、とくに親から生きる上の大事な知恵を授かります。そのほか友だちとの交わりなどさまざまな生活場面においても多くのことを学びます。しかし、青年期に直面する大疑問は、それまでに教えてもらった知恵では、とうてい解決できません。
 大げさに言うと「生き死に」に関わる大問題です。青年は、案外死に近いところにいると私は思うのです。
「魂の巨人」の言葉に書物で出会う
 青年期は危機の時代ですが、精神的にもっとも深くなる「恵みの時代」でもあります。大問題を避けて、青年期を騙しだましやり過ごして、そのまま大人になって俗物になってしまうのはもったいないことです。社会に出ると、人生の先輩たちがもっともらしい処世術を説いてくれます。それは、経験の裏打ちのある言葉ですから、結構役立ちますが、青年期に出会った大きな問いに答えてくれるものではありません。しょせん処世術です。そのことに気付かず世を渡り、幸せに老いてゆくことも可能かもしれません。しかし、人生のさまざまな局面で心の底に残した宿題、「私とは何か」、「生きるとは何か」が頭をもたげてくることがあります。
 根本問題に答えてくれるのは古典です。古典の著者は、いずれも「魂の巨人」と呼ぶべき人たちです。百年の間に何人出るかわからない人たちです。こうした巨人に出会うことなしに大問題を乗り切ることは不可能です。漱石やドストエフスキーを読んでも、日常を乗り切るための答えが得られるわけではありません。しかし、魂の深い問題には付き合ってくれます。こういう人物と青年時代から親しくしておきたいものです。
 大問題に直面しなくても、学生時代には、ともかく薦められるままに古典を読むといいでしょう。古典をひも解くことではじめて、人生にはこんな深い問題があるのだと教えられることがあるかもしれません。何も考えてこなかった自分に気付くかもしれません。問題に出会うことと書物を開くことは、どちらが先でもいいのです。いずれにしても青年期に古典に出会うことは大事なことのです。
 大学を卒業し、食べるために働くようになると、徐々に「読書の体力」は落ちてきます。本が読みたくなっても、次第に日常生活に役立つものに限られてきます。まずは、文字通りの実用書です。資格の取り方とか、生活に役立ついろいろな技術を教えてくれる本です。趣味の本もあります。苦境を乗り越えた成功者の体験談は、読者に生きる勇気を与えます。あるいは、ハラハラ、ドキドキさせてくれる物語もあります。しばしの癒しを与えてくれるような心温まる話もあります。読者を主人公の運命に同化させて気持ちよくさせてくれる物語もあります。これらも、広い意味では「実用書」と言っていいでしょう。もちろんこのような読書を否定しているわけではありません。どのようなものであっても、読書は暮らしを豊かにしてくれます。
 以上のような効用は、古典を読む場合でも得られます。「ワクワク、ドキドキ」を提供してくれる古典もあります。また、結果として、広く知識を獲得することもできます。しかし、古典の古典たる所以は読者を先に述べた根源的な問いへと導いてくれることです。読者は、作者と問いを共有します。読書の本質は出会いです。
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